25章

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蓮がここに女の子を連れて来たのは私が初めて…… 「康介余計なこと言うな」 「いいじゃん。ほんとのことだし。それに俺、嬉しいんだよ。蓮がやっと大切に想える子できたんだなってね」 蓮が前に言ってた……来るものを拒まなかったこと。 「蓮見てればわかるよ。美優ちゃんを大切にしてるって」 「あー、康介うるさい。早く飯食わせてよ」 昔の蓮はほんとに女の子と真剣に付き合っていなかったんだ。 今の蓮とは想像つかない。 でも昔の蓮があるから今の蓮がいる。 過去がどうであれ、今は私を大切にしてくれるから……私は今の蓮で充分。 「普段の蓮ってどう?」 興味津々に康介さんは聞いてきて、ちらっと蓮を見たら、はあ、と大きなため息をついて、 「俺ら飯食いに来たの。お前の調査を受けに来たんじゃないんだよ」 「だって知りたいじゃん。で、美優ちゃんどうなの?」 どう?って言われてもこのまんまなんだけど…… 「蓮は……優しいです」 「こいつが優しいの?」 「はい。あ、でも俺様の時もあります」 「プッ、やっぱり?」 康介さんは何を思い出したのか蓮を見て笑い出してお腹を抱えてる。 「康介、いい加減にしないと怒るよ」 「ごめん、悪かったって。もっと話し聞きたい所だけどそろそろ仕事に戻らないとな」 「早く食べ物持ってきて」 「俺に任せてもらっていいの?」 「任せるから早く行って」 「はいはい、わかりましたよ」 ちょっとふて腐れた康介さんは名残惜しそうに去って行って、いなくなったのを確認した蓮が、 「やっと静かになった」 少し氷が溶けてしまったグラスを持って一口水を飲んだ。
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