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「康介さんっていい人だね」
私がそう言うと嬉しそうに笑みを浮かべて蓮は笑って、
「うるさいけどね」
と、さっき康介さんが入って行った厨房の入口を眺めていた。
「あいつ、副キャプテンだったんだ。いつも助けられて……高校生活の3年間は嬉しい涙も悔しい涙も康介と一緒に流した」
昔を思い出しているのか蓮は懐かしそうに頬杖ついて口元を緩める。
「蓮のバスケする姿見たかったな」
私も頬杖ついて蓮に視線を向ければ、
「バスケしてるとこ見たら美優は気絶する」
「え?どうして?」
「俺、格好いいから」
嫌味なんてまったくなくて、いつも自信に満ちた蓮がいつもより格好良く見えて、私はうっとり蓮に見惚れてしまう。
「今度バスケ見てみる?」
「見せてくれるの?」
「康介と春樹誘って」
「春樹……え!松田さん?」
あの温和な松田さんがバスケをするって、なんだかイメージが浮かばない。
「春樹も俺達とずっとバスケしてたんだよ」
「松田さんが……」
スピードのあるバスケを松田さんがやっていたなんてちょっと驚いたけど……
「休みの日でも誘ってみよう」
「うん」
蓮のバスケをする姿か……
この長い腕でボールをシュートするんだろうな。
汗を流して走る蓮か……
「美優はまた俺を一人にさせて妄想?」
「あ、ごめんなさい」
だって蓮のこと考えちゃうとついつい……
あっ、いい匂い。
またチーズの香りが私の鼻を擽って、私のお腹が音を立てる。
まだか、まだかと待っていたら、
「はーい、美優ちゃんお待たせ」
康介さんがにこやかに笑ってたくさんの料理を運んできた。
「うわー、おいしそう」
次々に並べられていく料理に私は驚いて目を丸くしていた。
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