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「これ全部康介さんが?」
「そうだよ。ちょっとは見直した?」
「見直したなんて凄いです」
だって色とりどりの野菜を使った、パスタにドリア、ドルチェにピザに……こんなにたくさんの料理を作ってしまうなんて。
「ま、一応プロですから」
腕を組んだ康介さんはへへっと笑って、さあ、どうぞと掌を見せた。
「食べていいよ」
と蓮に言われたけど……どれから食べていいのか目移りしてしまう。
迷った私は横目で康介さんを見ると、
「うん?」
と、首を傾げた。
「あの……」
「美優ちゃんどうした?」
「いっぱいありすぎて迷います」
「蓮になんて食べさせなくていいから美優ちゃんがぜーんぶ食べていんだよ」
と、康介さんが言うと目を細くして蓮が康介さんを睨む。
「も、もちろん蓮も食べてくれよ」
ははっと、康介さんは笑って誤魔化し惚けた顔でそっぽを向けば、蓮はすでにフォークを持って食べ始めていた。
私は一番最初にドリアに手を付ける。
な、何、この濃厚な味。口の中でとろけるまろやかなホワイトソース。
「お、おいひいです。とってもおいひいです!」
ドリアの熱さでうまくしゃべれず口籠もる。
「美優、熱いならちゃんと冷まして食べないと火傷する」
「蓮……お前ってお母さんみたいだな」
「美優は子供だからね」
あ、また私を子供扱いしてる。
「もお、康介さんの前で言わないでよ」
頬を膨らませて言っても蓮は食事に夢中。康介さんは私たちを見てクスクス笑っている。
「美優ちゃんが蓮を嫌になったらいつでも俺の所に来ていいからね」
「康介、あんまり美優を甘やかさないで」
「うわっ厳しい、それ保護者だよ、保護者」
蓮はもうそれ以上突っ込まず、次から次と物凄い勢いで口へ運んでいた。
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