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「康介、店ほったらかしていいの?」
康介さんはさっきからずっとテーブルに肘をついて私達が食べるのを見ている。
「今日は暇だからクローズにしたんだよ」
「適当な奴だな」
「俺オーナーだから」
確かに今はもう私達しかいないけど……
「蓮がこんなかわいい美優ちゃん連れて来たんだからさ、一緒にしゃべりたいじゃん。で……二人はどこで知り合ったの?」
突然話が変わって康介さんの質問に私と蓮は目が合った。
そして私より先に蓮が口を開き、
「会社の部下だよ」
「うおっー、俺が憧れているオフィスラブかよ」
興奮気味の康介さんは身を乗り出して蓮と私を交互に視線を向ける。
「やっぱりドラマみたく給湯室とか誰もいない会議室とかで密会したりするのか?」
「はあ……」
蓮が大きなため息を溢すと……
「康介いやらしい想像してるよね」
うん、うんと興味津々に康介さんは頷いて、蓮をじっと見つめ……
「うちの会社は社内恋愛はだめじゃないけど……バレたら何かと面倒だから、たまに資料室とかでいろいろと」
「いろいろとって何、何?」
ちょ、ちょっと蓮、そこまで言わなくても。
「まー、いろいろとね。なっ、美優」
いろいろ……うん。確かに資料室で……
一気に顔が熱くなり、私はどこを見ていいのか目をキョロキョロさせれば、
「美優ちゃんいろいろってなーに?」
康介さんは私に話を振ってきて顔をニヤニヤさせて見ている。
助けを求めて蓮に視線を送ってもククッとまた笑ってるし。
私は完璧に二人に弄ばれている。
「もう知らない」
プイッと横を向いて口を尖らせれば康介さんが、
「美優ちゃんはいじられキャラだ」
なんて康介さんまで私をバカにする。
「嘘だよ、美優ちゃん。うちの自慢のデザート食べさせてあげるからさ、機嫌直してよ」
デザートという名の女子には堪えられない言葉に反応した私は、
「え?ほんとですか?」
蓮が私を見てプッと吐き出し、
「美優切り替え早すぎ」
と、蓮は目尻を下げて肩を揺らして笑った。
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