26章

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「おーい」 どこからか私達に声を掛けてくる人がいて、聞こえた方へ顔を向けると、爽やかな笑顔の松田さんが手を振っていて…… 今日も松田さんが眩しい。 「遅れてごめーん」 「春樹!」 「久しぶり、康介」 「あっ、井上さん、こんにちは」 ほんわかした笑顔を向けられると私までつい飛びっきりの笑顔になってしまう。 「こんにちは」 と私は松田さんに挨拶を返す。 長身の3人が並ぶと私なんて小人みたいで真っ正面に立つと頭を後ろに下げないと目線が合わなくて。 それにしてもこんな美男に囲まれると目のやり場に困ってしまう。 「井上さんもバスケやってたんだってね」 「あ……はい。あれ?梨花は来ないんですか?」 苦笑いをした松田さんが、 「行こうって誘ったんだけど……」 『せっかくの休みぐらい寝かせてよね。くだらないあんた達の遊びになんて付き合ってられないわよ』 「こんな感じで言われて……」 梨花らしい発言…… 「確かに梨花も仕事で疲れてるし……仕方がない。うん、仕方がないんだ」 うん、うんって松田さんは一人で納得して自分に言い聞かせているようで。 「梨花もバスケやってたんですよ」 「え?」 「え?」 「梨花もやってたの?」 「はい、キャプテンでしたよ」 「はあ……そんなこと一言も言ってくれなかったよ」 あ、まずいこと言っちゃったかな、私。 「今度は私も誘います」 梨花は松田さんに隠しておきたかったのかな。 「うん、よろしく頼むよ」 「はい」 「みんな準備はいいかい?」 バスケシューズを履いてやる気満々の康介さんがみんなに声を掛けた。 まだ何も準備が出来ていない私達を早く、早くと急がせ、パーカーを脱いでいる私の前にきて、 「美優ちゃん、蓮より格好いい姿を見せてやるよ」 と、熱い視線でウインクをした。
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