26章

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「俺もう限界」 康介さんは汗だくになってコートに大の字で寝転んだ。 「ちきしょー、蓮には敵わねぇ」 真上にある太陽に照らされて、康介さんは眩しいのか目を瞑って乱れた呼吸で肩を揺らしている。 蓮がボールを持って康介さんの横に座ると、 「なんで蓮は疲れてないんだよ」 康介さんの言う通り蓮は息一つ切らせず、まだまだ余裕でいる。 蓮と一緒に住んでからトレーニングやランニングをしているのを見たことがない。 それなのにこの体力の差。 突然、ニヤッと笑った蓮が、 「俺はベッドの上で鍛えてるからね」 と、自慢気にそれもまた得意顔で康介さんを見て言った。 ベッドの上…… やだ、恥ずかしい。 私の顔はみるみるうちに赤見を増していく。 「俺に自慢してんのか!」 「だってほんとのことだし」 康介さんはちらっと私の顔を見ている。 きっと想像しているに違いない。 「ほらほら、二人とも。もう落ち着いてよ」 こういう時、一番しっかりしていて大人なのは松田さんだ。 爽やかな笑顔を振り撒く松田さんは蓮と康介さんの間に挟まれ、最後は二人に絡まれている。 いいな、こういうのって。 私はベンチに座ってじゃれ合う3人の姿に目を細めて眺めていた。 「美優、帰るよ」 「うん」 最後は蓮対康介さんで戦って、康介さんは手も足も出ないまま蓮に負けてしまい、次のリベンジまで体力をつけると宣言していた。 「今日は楽しかったです」 康介さんと松田さんに挨拶をすると 「キャッ」 いきなり康介さんに手を引かれ、その勢いで胸元に鼻をぶつけてしまった。 鼻を押さえて痛がっていると、 「またね、美優ちゃん。チュッ」 「えっ?こ、康介さん!」 私の頬っぺたに音を立ててキスをした。 「康介……お前……」 蓮の目がだんだんとつり上がっていく。 「仕返しだよ」 べーと舌を出し康介さんは一目散に走って逃げて行った。 「康介め」 フフッ、何だかんだ言って、蓮と康介さんは仲が良くて。 今日はみんなの違う一面を見れてほんとに楽しかった。 またいつかみんなで……あ、梨花も呼んでバスケしたいね。
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