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「俺もう限界」
康介さんは汗だくになってコートに大の字で寝転んだ。
「ちきしょー、蓮には敵わねぇ」
真上にある太陽に照らされて、康介さんは眩しいのか目を瞑って乱れた呼吸で肩を揺らしている。
蓮がボールを持って康介さんの横に座ると、
「なんで蓮は疲れてないんだよ」
康介さんの言う通り蓮は息一つ切らせず、まだまだ余裕でいる。
蓮と一緒に住んでからトレーニングやランニングをしているのを見たことがない。
それなのにこの体力の差。
突然、ニヤッと笑った蓮が、
「俺はベッドの上で鍛えてるからね」
と、自慢気にそれもまた得意顔で康介さんを見て言った。
ベッドの上……
やだ、恥ずかしい。
私の顔はみるみるうちに赤見を増していく。
「俺に自慢してんのか!」
「だってほんとのことだし」
康介さんはちらっと私の顔を見ている。
きっと想像しているに違いない。
「ほらほら、二人とも。もう落ち着いてよ」
こういう時、一番しっかりしていて大人なのは松田さんだ。
爽やかな笑顔を振り撒く松田さんは蓮と康介さんの間に挟まれ、最後は二人に絡まれている。
いいな、こういうのって。
私はベンチに座ってじゃれ合う3人の姿に目を細めて眺めていた。
「美優、帰るよ」
「うん」
最後は蓮対康介さんで戦って、康介さんは手も足も出ないまま蓮に負けてしまい、次のリベンジまで体力をつけると宣言していた。
「今日は楽しかったです」
康介さんと松田さんに挨拶をすると
「キャッ」
いきなり康介さんに手を引かれ、その勢いで胸元に鼻をぶつけてしまった。
鼻を押さえて痛がっていると、
「またね、美優ちゃん。チュッ」
「えっ?こ、康介さん!」
私の頬っぺたに音を立ててキスをした。
「康介……お前……」
蓮の目がだんだんとつり上がっていく。
「仕返しだよ」
べーと舌を出し康介さんは一目散に走って逃げて行った。
「康介め」
フフッ、何だかんだ言って、蓮と康介さんは仲が良くて。
今日はみんなの違う一面を見れてほんとに楽しかった。
またいつかみんなで……あ、梨花も呼んでバスケしたいね。
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