27章

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「んっ」 だめって言ったのに…… 蓮の唇が私を誘惑して、甘く溶ろけるキスを落とす。 だめだと思うのに私の理性は蓮によって破壊されて、いつの間にか自分の腕は蓮の背中に手が回っていた。 「れ……ん……待っ」 角度を変えた隙に声を漏らすけど、蓮は聞こえているのに答えてくれない。 足の痛みなどわからなくなるぐらいすでに私の頭の中は真っ白で。 このまま蓮に流されてはいけないと思うのに…… もっと、と強請る自分がいる。 息が苦しくなり蓮の唇から逃れようとしたら…… 蓮の右手がパジャマの下から潜り込んでいて。 ハッとこの状況に気付いた私は、 「だめっー」 と、威勢良く声を出した。 「そこまで大きな声出さなくても」 肩を震わせて蓮は笑っている。 「だって蓮がやめてくれないから……」 私の唇を蓮の長い指先がゆっくりとなぞる。 「美優を抱きたいんだけど」 や、やめて。そんな妖艶な瞳で見つられたら……私の抵抗が無駄になってしまう。 「だめ。今は無理。絶対無理」 「これでも?」 「ヒヤッ」 蓮の手は素早くて、気付けば手がパジャマの下にあって……私は咄嗟に蓮の手首を掴んでいた。 私は上目遣いで蓮を見つめ、 「蓮……帰ったら……して……」 蓮の眉がピクッて動いて目を見開いた。 「どこでそんな甘え方覚えたの?」 苦笑いをしてドカッとベットに戻った蓮は、 「そんな顔見せるのは俺だけにしてね。絶対に」 と、私に念を押して、 「朝からいじめすぎた」 「え?」 「美優のせいで早起きしたから仕返し」 「またからかったの!?」 「ククッ」 さっきの美優はほんとにヤバかった。 ふざけてたとはいい、ほんとに俺、ヤバかった。 あんな顔をされて理性を保てた俺って…… えらいと思う。 うん。えらい。
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