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「だから、どうして神堂部長に私を預けたのよ」
「だって私デートだったんだもん」
「そんなこと一言も言ってなかったよね」
「そうだっけ?」
私と目を合わせないようにしている。
しかも完全に誤魔化している。
「それで神堂部長どうだった?」
まだ昨日のことで色鮮やかに記憶が残っていて、思い出しただけで心臓がギュッとなる。
「気付いたら……ベッドの上……だった」
「えっーー!」
これは驚いたようでほんとに目を丸くしてびっくりしている。
そりゃそうだよね。
私だってびっくりしたもん。
「それで、それで」
興味津々だね、梨花。
「あ、時間」
時計の針がもうすぐ8時半になろうとしていた。
「ちょっと、美優。まだ話し聞いてないんだけど」
「昼休みにゆっくり説教とセットで教えるよ」
私達はロッカー室を出て、経理課のドアの前まで来た。
梨花の後ろに付いて行くけど、顔を上げれなくて自分の足元を見ながら席に付いた。
変に意識をしているせいか掌がじんわり汗ばむ。
私の席の真っ正面には神堂部長のデスクがある。
顔を上げて視線を向けると、神堂部長のあの鋭い目と合ってしまった。
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