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松田さんは楽しそうにしゃべっているのに、蓮は相づちを打つだけで……
具合悪いのかもしれない。
私はポケットから携帯を出して短い文で、具合悪いの?とメールをした。
あまりジロジロ見てはいけないと思い、別な所を見るフリをして蓮を見るとメールに気付いたみたいで携帯を見ている。
メールを読んだのか顔を上げて、私を探しているようで回りを見渡していて……
私が食券販売機の前にいるのを気付いた蓮と、一瞬だけ目が合って。
でもすぐに目を逸らされて、携帯を持つ手が止まると、数秒後に私の携帯が震えた。
私は急いで携帯の画面を見る。
『具合悪くないよ』
え……でも顔色が……
再び蓮を見た時は松田さんと笑ってしゃべっていて……
でも青白い顔だった。
いつもの蓮を見間違うはずがない。
どうしたの蓮?何かあったの?
私は立ち止まったまま蓮からのメールを何度も読み返していた。
「美優、美優」
「あっ、うん?」
「食券早く買わないと」
「う、うん」
ポケットに携帯を戻し、適当にボタンを押す。
「美優、そば食べたかったの?」
「うん、寒いから暖かい食べ物と思って」
「ふーん」
食堂のおばさんに食券を渡してそばを受け取り、梨花の後ろについていく。
「ここいい?」
梨花が声を掛けたのは松田さんだった。
ちょっと梨花……確かに席は空いてないけど蓮だっているのに。
「どうぞ」
と空いている椅子を引いて梨花が座る。
私と蓮のこと知ってる人はいないけど……
ちょっと気が引けて、トレーを持ったまま突っ立っていたら、
「座ったら?」
と、松田さんと同様、椅子を引いてくれた。
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