3章

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「美優?」 背後から男の人が私の名前を呼んだ。 この会社で名字以外で私を呼ぶ人はいなくて、不思議そうな顔で返事をした。 「はい?え?凌太?」 懐かしい姿が後ろに立っていて、突然の出来事に口をぽかんと開けたままだった。 2年ぶりに見た凌太は顔付きが男らしくなり、別れた時とは違う髪型で…… でも笑顔は変わっていなくて、少し痩せたみたい。 学生ではなく見たからに男の人になっていて、別れてから長い月日が経ったことを思い知る。 「どうしてここに?」 「営業で来てさ、社員食堂のご飯がおいしいって言われたから来てみたんだ」 「そっか……」 「美優がここにいるなんて思わなかったよ」 「短大卒業して入社したの」 「なんか雰囲気変わったな」 「そうかな」 優しく笑う所はぜんぜん変わっていない。 わがままも強がりもどんな時も笑顔で私を支えてくれた。 そんな凌太が大好きでずっと一緒にいたいって思っていた。 「じゃあ、俺行くね」 「うん」 あんなに一緒にいたのに別れてしまえば他人で、過去に何もなかったように普通にしゃべっていた。 それが少し寂しく思うのは私だけかな。 一時は付き合っていたのに離れてしまえばこんなものなのかな。
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