3章

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「久しぶりに凌太に会ってどうだった?」 「うん……びっくりしたのもあるけど……なんだろう……」 あんなに好きだったのに、あっさり過ぎた自分がいて、別れてしまうということはこんなにも他人になってしまうものなんだって思った。 「凌太を見てドキドキした?」 「あ……ううん。しなかった……」 私はドキドキしなかった。 懐かしい気持ちはたくさんあるのに、たまに元気かなって思い出していたのに、いざ凌太に会っても私は驚きだけで、あっさりしたもんだった。 「別れた男と女なんてそんなもんだよ」 「……うん」 店員がビールを持ってきて、ジョッキーに付いた水滴を私は眺めていた。 「ほら、乾杯」 「乾杯」 片手でジョッキーを上げ、カチンと鳴らして冷たい液体を喉に流していく。 「うまーい」 「梨花、それオヤジ臭いよ」 口の周りに白い泡を付けている梨花がおもしろくて思わず笑ってしまった。 「恋したーい」 「ほんとだね」 梨花も私も一人が長いから二人とも幸せになりたいね。
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