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どうして神堂部長が……
私と梨花は向かい合わせで座っていて、当然のように二人の隣は空いていて……
梨花の隣には松田さん、なぜか私の隣には……
神堂部長が座った。
待って。
なぜここに神堂部長が?
そしてどうして連れて来る?
やっと、何もない穏やかな日々を送っていたのに、この状況のせいでまた思い出しちゃったじゃない。
あの日のキスを……
とりあえず社交辞令ってことで二人に挨拶をした。
「こんばんは。お疲れ様です」
「井上さんまた会ったね?」
いつも神堂部長と一緒にいる営業部の松田さん。
神堂部長と違って、爽やかで柔らかい笑顔で笑う。
神堂部長が冷酷なら松田さんは温厚な人。
真逆な二人。
「え?また?」
「うん。ほら、この間井上さん酔っ払ってて、蓮に送ってもらった時」
神堂部長の前でそれは言わないで。
またあの日のことまで蘇って、ここに存在する自分が恥ずかしくてカッーと顔が赤くなる。
「すいません……私、あの日のことは憶えていなくて……」
「え、そうなの、蓮?」
松田さんは私と神堂部長の顔を交互に見て、意味ありげにニコッと笑った。
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