3章

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どうして神堂部長が…… 私と梨花は向かい合わせで座っていて、当然のように二人の隣は空いていて…… 梨花の隣には松田さん、なぜか私の隣には…… 神堂部長が座った。 待って。 なぜここに神堂部長が? そしてどうして連れて来る? やっと、何もない穏やかな日々を送っていたのに、この状況のせいでまた思い出しちゃったじゃない。 あの日のキスを…… とりあえず社交辞令ってことで二人に挨拶をした。 「こんばんは。お疲れ様です」 「井上さんまた会ったね?」 いつも神堂部長と一緒にいる営業部の松田さん。 神堂部長と違って、爽やかで柔らかい笑顔で笑う。 神堂部長が冷酷なら松田さんは温厚な人。 真逆な二人。 「え?また?」 「うん。ほら、この間井上さん酔っ払ってて、蓮に送ってもらった時」 神堂部長の前でそれは言わないで。 またあの日のことまで蘇って、ここに存在する自分が恥ずかしくてカッーと顔が赤くなる。 「すいません……私、あの日のことは憶えていなくて……」 「え、そうなの、蓮?」 松田さんは私と神堂部長の顔を交互に見て、意味ありげにニコッと笑った。
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