3章

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なんでかな。 胸が苦しくってズキズキ痛くて、涙腺が緩んでいくのがわかる。 こんな場所で泣くなんてみっともない。 まして隣には神堂部長がいて、泣いていたら何を言われるかわからない。 梨花と松田さんはいい雰囲気で楽しそうに飲んでるっていうのに、私と神堂部長は一言も話さず、私から話し掛けることもなく、神堂部長から話し掛けてくることもなく…… 心のモヤモヤを消したくて、まだ半分以上入っているビールを一気に飲み干した。 「プッハ」 向かいに座る、梨花と松田さんが私の飲みっぷりに唖然として口をぽかんと開けている。 「ちょっと美優大丈夫?」 「ビール注文して」 「美優、今日はもう」 「やだ。飲みたい」 「井上さん今日はもう飲むのやめてこれ食べようよ」 そう言って松田さんは私の目の前に焼き茄子を置いた。 こんなの食べたくないもん。 「もうやめたら?」 いかにも怒っているという低音な声で神堂部長が私に言った。
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