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「行くぞ」
「え?」
神堂部長は急に立ち上がり、私の手首を掴んだ。
掴まれた手首をじっと眺めて、そして神堂部長に視線を移すと
ちゃんと私を見てくれている。
無理矢理立ち上がされ、掴まれた手首が強く握られて、そこだけが火照る。
「ちょ、ちょっと待って下さい。どこ行くんですか?」
「いいから行くぞ」
「あ、お金」
「今日はこいつらのおごり」
「え、でも」
個室を出る前に梨花と松田さんを見ると
「梨花、頑張れ」
「今日はおごるよ。蓮を頼むね」
って笑っている二人がいて、甘えちゃっていいのかなって戸惑っていた。
「早く」
グイっと引っ張られて、まだ酔いが冷めていない私は足がおぼつかなくて、転ぶ寸前で神堂部長が私の腰に腕を回してくれた。
「だから飲みすぎなんだって」
「は、はい、すいません」
普段見ることがない優しい笑顔にキュンとしてしまった。
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