3章

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私……どうしたい? タクシーに乗せられて、掴まれていた手首はいつの間にか手を繋がれていて…… 繋がれている手を見るとドキドキと跳ねる心臓がうるさくて、手を離してって拒否すればいいのに拒否しない自分がいて。 窓の外を見たままこっちを見ない神堂部長の横顔をちらっと見て、私も窓から見える眠らない都会の明かりを見ていた。 タクシーを降りるとそこは二度目になる神堂部長のマンションだった。 私の右手と神堂部長の左手は繋がれたままで、私は神堂部長の後を着いていく。 エレベーターに乗り、18階のボタンを押した神堂部長は居酒屋から一言もしゃべらないまま。 だから今、何を考えているかなんてわからないし、私も聞こうともしなかった。 「入って」 玄関のドアを押さえ、先に私を誘導してくれて、私は戸惑いながらゆっくり足を踏み入れた。 カチッと鍵を回す音が聞こえてドキッとしてしまった。 自らここに入る決心をしたのは私。 行くぞと言われて拒まなかったのは私。 すべて自分で決めたことだった。 リビングに入ると神堂部長の匂いがいつもより鼻を擽り、この間は見なかった窓から見える夜景は宝石がちりばめられたようにキラキラと光っていて、息を忘れるぐらい綺麗だった。 「きれい」 曇一つない空とくっきり浮かび上がる三日月。 見ているだけで癒されていく。 毎日この夜景と空を見れるなんて正直羨ましいな。 「座ったら?」 「は、はい」 癒されていた気持ちが声を掛けられたことでまた緊張が走り出す。
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