3章

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「資料室のこと……ごめん」 ソファに座ったと同時に神堂部長が小声で呟いた。 「あっ、あれは間違いで意味のないキスだって、ちゃんとわかってますから」 そう。 私はあのキスはなかったことにしようと決めた。 はずなのに…… 唇が神堂部長を忘れていない。 まだあの時の温もりは私の中で過去になっていないんだ。 だから居酒屋であんなことを言ってしまっていた。 忘れないでって神堂部長に訴えたかったんだ。 「あれは意味のあるキスだから」 「え?」 目を細めた神堂部長は何かを決意したかのように真っ直ぐ私の目を見た。 見つめられた私は、そんな神堂部長の目を反らすことなんてできず、私も見つめ返した。 「俺はお前が好きだ」 そう言われた瞬間、私の目尻から涙が溢れていた。 今までどんなに冷たくされても、辛い言葉を吐かれても、私は神堂部長をいつも目で追っていた。 感情のないキスでもずっと神堂部長のことが頭から離れず、資料室のことを考えただけで心臓がドキドキしていた。 今になってわかる。 私は神堂部長が好きだということ。 「神堂部長……」 俯いていた神堂部長が顔を上げたから、今度は私が見つめた。 「私……神堂部長が好きです」
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