3章

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今なんて言った? 『私……神堂部長が好きです』って言ったよな? 自分でもわかる。 嬉しさのあまり顔が真っ赤で緩んでること。 好きな女に好きだと言われることがこんなにも嬉しいだなんて、こんなにも幸せだなんて、初めて味わう感情。 井上の目から溢れる涙を右手を差し出して拭うと、愛しいと思った。 「美優」 夢で心で何度叫んだだろう。 名前を呼びたいのに呼べないもどかしさ。 今、やっと美優って呼べる。 「美優が好き」 そう言うと恥ずかしそうに頬を赤く染め、おどおどしている美優が好きで好きでたまらなくて、俺は手を伸ばし抱き付いた。 美優の甘ったるい匂いが脳波を乱し、これは夢なのかと錯覚までしてしまう。 「私も大好きです」 私は神堂部長の背中に手を回して、私からの好きという想いを込めて強く抱き付いた。
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