4章

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変に意識しすぎて、私だけがきっとこんなにドキドキしている。 余裕の笑みを浮かべている神堂部長がずるい。 「余裕なんですね」 「そう見える?」 「はい……」 ソファと背中の間に手を滑らせ、そっと私を起こし、神堂部長の横に座らせてくれた。 「ずっと好きだった」 「えっ?私のことですか?」 「そう」 「いつから……ですか?」 「美優の入社式の日から」 入社式? 「あ、会場を聞いた人」 事故で電車が止まってしまって、ギリギリに会場に入って…… その時、会場がどこにあるか聞いた人……神堂部長だったんだ。 「思い出した?」 「はい」 「俺はあの時、初めて一目惚れっていうのをした」 そんな間近で見つめないで。 心臓がさっきからキュンキュンして、騒がしい。
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