4章

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「ずっと入社式から見てたよ。美優のこと」 じゃあ、2年前からってこと? 私……そんなこと全く気付かなかった。 「仕事を一生懸命やってることも、社員食堂で鈴木と楽しそうに食事していることも、夏は冷たいミルクティで冬は熱いミルクティを飲んでいることも。俺はずっと見てたよ」 だからこの前…… 初めて神堂部長のマンションに来た時、コーヒーじゃなくミルクティをくれたんだ。 「ずっと俺のものにしたいって思ってた」 「神堂部長……」 一つ一つの言葉に胸が熱くなって、涙が込み上げてくる。 いつも近くにいたのに、冷たい神堂部長との間にいつも壁を作っていた。 私のこと嫌いなんだって、ずっと思っていた。 「俺……素直じゃないからたくさん傷つけたな」 遠回りしたけど、今こうやって私への想いを聞けただけで、私はそれだけで幸せだ。 神堂部長の手がスッーっと伸びてきて、私の頬に触れた。 「ずっと俺の傍にいて」 「は……い」 もうキスの確認なんていらなくて、お互い触れたくて、好きだよって伝えたくて、私達はまた唇を重ねた。
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