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「俺眠たい」
「はい、あ、うん」
二人で横向きになって逞しい腕が私の腰に回される。
「あのさ」
「うん?」
蓮は申し訳なさそうに眉を寄せ、
「春樹と鈴木にはもうバレてると思うけど……会社では美優って呼べないから……」
言っている意味がわかった。
上司だもん、私と付き合ってるからといって、特別に扱うことはできない。
会社では上司と部下。
「私……わかってるよ」
「ごめん」
「今まで通り冷たくして下さい」
蓮の腕が強くなり、胸に押し付けられる。
居心地いい。
抱き締められている腕から温もりが伝わって気持ちが落ち着く。
目を閉じれば蓮の鼓動が子守唄のように聞こえて、私は深い眠りに落ちていった。
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