4章

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カーテンの隙間から日差しが差し込み、朝なんだと気付いた。 周りを見渡せば二度目に見る風景で、隣には静かに寝息を立てる蓮がいる。 神堂部長から蓮に呼び方が変わったことが恥ずかしい。 顔に掛かった長めの前髪の隙間から見える睫毛が、とても長くて思わず見とれてしまう。 「蓮……」 まだ呼び慣れない名前を呼ぶと、なんだか照れ臭くて、朝から頬が熱くなる。 「あまり見られると恥ずかしいんだけど」 「うわっ」 ゆっくり目を開ける蓮と視線が合うと 「夢じゃないんだな」 と、頬を撫でられた。 少し掠れた艶っぽい声音に朝からドキドキがおさまらない。 「おはようございます」 「おはよう」 チュッ と触れるだけのキスをされ、 「美優がいなかったらどうしようって思った」 眉間にしわを寄せて苦笑いをする蓮を見て、この人を大切にしたい、そう思った。
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