5章

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美優……ごめん。 鈴木の後に続いて、美優があいさつをしてきたのに。 目が合ったけどすぐに反らしてしまった。 ほんとは近寄って声を掛けたかった。 でも何十人といる他の社員の目が気になり、近寄ることも優しく声を掛けることもできなかった。 切なげに視線を落とした美優の顔が曇っていた。 美優の悲しい顔を見て、俺は自分の立場をこの時初めて恨んだ。 パソコン越しから窓際に座る蓮が見えて、電話に出たり、社員が持ってくる書類を確認したり忙しそう。 私を見てくれる余裕なんてないよね。 だめだね、私。 わがままだ。 こんなんじゃ嫌われちゃう。 私はブルブルと顔を横に振り、パソコンの画面に集中した。 昼休みはいつものように梨花と社員食堂に行き、みんなから離れた席に座っていた。 「美優、大丈夫?」 「うん?何が?」 「なんか思い詰めてたから」 「……うん」 「神堂部長も辛いと思うよ」 「あ……うん」 梨花はきっと私の気持ちわかってるんだ。
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