5章

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「今日なんか予定ある?」 今日は梨花と約束していないから真っ直ぐ帰る予定だった。 「何もないです」 「ご飯食べに行こう」 「うん!」 単純だよね。 たったこの一言だけで、私の心は満たされて、さっきまで曇ってた顔が笑顔いっぱいになる。 「ちょっと首見せて」 「首?」 えっ? 私の肩に手を置いて、少し屈んだ蓮は首に顔を近付け、首筋に吸い付く。 チクッと痛いと思ったら 「美優は俺のモノ」 と、首筋をツンツンと突っついた。 「あっ」 キスマーク…… 鏡がないから見えないけど、吸われた所が熱を持っている。 「まだ付けて欲しい?」 「……」 恥ずかしくって蓮の顔が見れない。 たぶん…… 余裕な顔で口元を上げ、悪戯っぽく笑っている。 やっぱり私だけが余裕なくてドキドキしてばかり。 意地悪な蓮。 優しい蓮。 どれもみんな蓮で、これからもっといろんな顔を見てみたい。
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