5章

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ここだよ、と言われ、車から降りると、また手を繋がれ、一つ一つの蓮の行動に動揺しながら店内に入って行く。 「居酒屋?」 「そう。居酒屋に見えない?」 外見もそうだったけど、内装もおしゃれでカウンターもあり、個室もありで。だけど居酒屋には見えない作りだった。 「レストランかと思いました」 フッと笑った蓮を見て女性店員は頬を赤くしていた。 ほらね、誰が見てもその美貌に捕らわれる。でも私に笑い掛けたのに。 頬っぺたを膨らませた私を見て、どうした?だなんて、本人まったく気付かずで。 本人に自覚がないってのは一番困る。 案内された個室に入り、出て行く女性店員は最後まで顔を赤くしていた。 「ここ気に入らなかった?」 このモヤモヤなんて言えない。 ううん、と首を横に振ると 「ちゃんと言って」 真っ直ぐ蓮に見つめられて、 「さっきの店員さんずっと……」 「ずっと?何?」 「蓮を見て……顔を赤くしてた」 また、フッと笑って 「気のせい」 ほらやっぱり自覚ない。 「俺は美優以外目に入らないから」 やられてしまった。 今の一言で心臓に矢を打ち抜かれてしまった。
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