23658人が本棚に入れています
本棚に追加
ここだよ、と言われ、車から降りると、また手を繋がれ、一つ一つの蓮の行動に動揺しながら店内に入って行く。
「居酒屋?」
「そう。居酒屋に見えない?」
外見もそうだったけど、内装もおしゃれでカウンターもあり、個室もありで。だけど居酒屋には見えない作りだった。
「レストランかと思いました」
フッと笑った蓮を見て女性店員は頬を赤くしていた。
ほらね、誰が見てもその美貌に捕らわれる。でも私に笑い掛けたのに。
頬っぺたを膨らませた私を見て、どうした?だなんて、本人まったく気付かずで。
本人に自覚がないってのは一番困る。
案内された個室に入り、出て行く女性店員は最後まで顔を赤くしていた。
「ここ気に入らなかった?」
このモヤモヤなんて言えない。
ううん、と首を横に振ると
「ちゃんと言って」
真っ直ぐ蓮に見つめられて、
「さっきの店員さんずっと……」
「ずっと?何?」
「蓮を見て……顔を赤くしてた」
また、フッと笑って
「気のせい」
ほらやっぱり自覚ない。
「俺は美優以外目に入らないから」
やられてしまった。
今の一言で心臓に矢を打ち抜かれてしまった。
最初のコメントを投稿しよう!