6章

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あれもこれもと大きめのバックにお泊まり道具を詰め込み、私は急いで部屋を出た。 三度目となる蓮の部屋は、彼女として初めてのお泊りで…… やっぱりある意味緊張している。 「お待たせしました」 「忘れ物ない?」 「う、うん」 変な緊張で背中にじんわり汗が滲んで、落ち着かない自分がいる。 また変に思われちゃうと思えば思うほど挙動不審で、蓮に怪しまれてないかと、ちらっと見たけど、至って普通でそんな蓮に安心していた。 部屋に入ると、より一層蓮の匂いが鼻を擽り、私はまた見たいと思っていた窓際に立ち、ここから見えるきれいな夜景を眺めいた。 「そこ気に入った?」 「あ、はい。ここからの夜景を見ると落ち着いて」 いつの間にか隣に来ていた蓮が窓を開け、テラスへ出て手招きをする。 「ここでいつも美優のこと考えてた」 そう言って遠くを眺める蓮の瞳は瑠璃色で、それは月明かりのせいなのか、夜景よりも蓮がきれいだと思ってしまう。 「ここに立つと嫌なこととか忘れない?」 私は蓮から視線を夜景に戻し、永遠と輝く宝石のようなこの景色に、私と蓮もずっと永遠に続けばいいなと願うのだった。
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