6章

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お風呂に入り、まったりとテレビを見ながら二人でソファに座っていた。 でもさっきから蓮の右手は私の左肩付近で動いていて…… 何が楽しいのか、私の毛先をクルクルと指で絡めて遊んでいるのだ。 無意識なのか蓮はテレビに視線を向けたままで、私のこのうるさい心臓のことなどお構い無し。 まだ慣れない二人の空間は、緊張の連続で私ってこんなに落ち着きないんだ、と思い知る。 「寝る?」 いきなり飛び出した言葉に思わず、ソファに手を付き、 「あっ、は、はい」 と、声が裏返ってしまって、そんな私を見逃さない蓮は 「美優、緊張してるの?」 すでに肩を抱かれていて、また意地悪な顔をしている。 でもその顔がたまらなく私をドキッとさせて、意地悪な顔も格好いいと思ってしまう。 「キャッ」 一瞬の隙に私は高い位置にいて、床から蓮へ目線を移せば、 「ご飯食べてんの?美優、軽すぎ」 なんて、満面な笑みを浮かべ、寝室へ向かっていく。 いわゆる、これがお姫様抱っこというもので、凌太にはこんなことされたことがなく、お姫様抱っこが初体験の私にはあまりにもハードルが高過ぎて。 早く降ろしてほしいよ……
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