6章

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「蓮……ごめんね」 申し訳なさそうに布団を口まで隠して目だけだして俺を見ている。 そんな体で抱いていたら、俺は絶対後悔していたな。 だから気付けてよかったと思う。 急ぐ必要なんてない。 俺は美優を手放す気なんてまったくないんだから。 せっかくいい雰囲気だったのに、蓮に悪いことしちゃった。 私も覚悟したのにまさか熱があるなんて、蓮が気付かなかったらきっと今頃…… やだ、恥ずかしい。 「大丈夫か?」 「うん」 頭の下に保冷剤を入れてくれて、ひんやりして気持ちいい。熱のせいなのか視界がぼんやりする。 「俺、あっちで寝るか……」 「やだ」 せっかく一緒にいるのに別々で寝るなんてやだ。 蓮に風邪を移しちゃだめとわかっててTシャツを引っ張っていた。 「……一緒にいて」 わがままかな。だって寂しい。 「俺も一緒に寝るから、美優はもう寝て」 「……わがまま言って……ごめん……ね」 完全に無意識なんだろうけど、その目は今の俺には過酷過ぎだ。 だからその潤んだ目が俺を狂わすんだって。 でも、そうやって甘える美優がかわいくて、仕方がない。 「寝るよ」 チュッ だからこうやってキスしたくなるんだ。
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