6章

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「……ん……」 美優の寝返りで目を覚ました。時計を見るとまだ6時。 おでこを触るとまだかなり熱い。 「会社は無理だな」 傍にいたいけど俺は大事な会議で休むことができない。でも午前中で終わるはずだから、早退して病院へ連れていこう。 着替えさせて自分の家に戻らせるのもだるいだろうから、おとなしく寝ててもらう。 「れ……ん……」 名前を呼ばれて美優を見ればまだ眠っていて、乱れていた髪の毛を耳に掛けた。 体がだるいのか眉を寄せて苦しい顔をしている。 頬に触れれば柔らかく顔を緩ませ、また、 「蓮……」 と愛しい声で美優は俺を呼んだ。 ゆっくり目を開けると私を黙って見つめている蓮がいて…… 「あ、私……熱」 「まだ熱あるから、今日会社休み」 「私なら大丈夫……」 と体を起こしたけどフラッとなってしまって、枕に戻ってしまった。 「大丈夫じゃないだろ?」 「……」 いつもなら一晩寝れば熱なんて下がるのに。 「午前中の会議終わったら早退してくるから、午後から病院行こう」 「そんな早退だなんて私は大丈夫です」 「いいから美優はおとなしく寝てて」 「でも……」 「言うこときいて」 と、クシャっと笑って頭を撫でて、そのままリビングへと行ってしまった。
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