1章

8/29
23656人が本棚に入れています
本棚に追加
/549ページ
「終わった」 パソコンに集中しすぎて目がチカチカする。 目を細めボヤけた視界でもう一度時計を見ると7時を過ぎていた。 「美優、お腹空いたから早く帰ろう」 梨花も終わったのかデスクの上を片付けている。 パソコンの電源を切って、私も散らかったデスクの上を片付けて‥‥‥ 「梨花帰ろう」 明日は土曜日。 やっと長い一週間が終わった。 いつも来ている会社近くの居酒屋に来ていた。 ここは会社の新年会や忘年会などでよく使う居酒屋で私達は常連客だった。 顔馴染みの店員さんに席を案内されて、今日は座敷ではなく個室のテーブルの部屋だった。 「ビール2つとあと焼き鳥にそれから‥‥‥」 梨花が慣れた口調で注文する。私は梨花の注文の後に揚げ豆腐も付け加えて‥‥‥ 店員さんの姿が消えて梨花を呼んだ。 「梨花‥‥‥」 「うん?」 梨花は手を拭きながらおしぼりから私に視線を移した。 「私見てるとイライラする?」 「はあ?どうしたの突然?」 「今日ね‥‥‥」 私が次の言葉を発するのを梨花は黙って待っている。 「神堂部長に‥‥‥おまえ見てるとイライラするって言われたんだ」 梨花は意味がわからないのか不思議そうな顔をしている。 「それ、神堂部長が言ったの?」 「うん‥‥‥」 何か思い当たることがあるのか梨花は、 「ふーん」 と、言って頷いている。 「ちょっと梨花、ふーんって何?」 もうこっちはイライラするって言われて真剣に悩んでいるのに。 「お待たせしました」 注文したビールが届き店員さんがジョッキー2つをテーブルの上に置いた。
/549ページ

最初のコメントを投稿しよう!