八月十五日

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目を覚ますと、そこは壁も床も天井も白一色で統一された部屋だった。 「何処だ、ここ?」 少年はやはり真っ白なベッドの上にいて、ゆっくりと上半身だけを起こし辺りを寝ぼけ眼で見回してみた。 一面、白一色のせいか、距離感がズラされて妙に広く感じる。 「目が覚めたみたいだね?」 「あんたは…?」 「僕は、医者だよ?この病院のね?」 最初から居たのかちょうど今来たのかわからないが、少年の前に現れた小太りの男はそう言った。 「びょう……いん?」 「うん?そうだよ?ちょっと体を触るね?」 そういうとカエルによく似た顔の小太りの医者は、何処からか椅子を持ってきて、顔に触ったり、目を診たり、口の中を診たり、聴診器を胸にあてたりと少年の体の調子を確かめていった。 少年はおもむろに部屋に架かっていた日めくりのカレンダーを見る。 日付は8月15日。 「あの……俺…」 カエル顔の医者は、一度だけ少年の見ていたカレンダーを見たが、首を戻して目の前の少年を見た。 「そうだね、君は“7月24日”から今日まで、ずっと眠り続けてたんだよ?」 “7月24日” とある少年と少女が幻想猛獣(AIMバースト)と激闘を繰り広げたあの日だ。 「いくつか質問するよ?」 「……はい」 「まず君の名前を教えてくれるかな?」 「…桐生 乱です。」
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