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助けを求めるように
劉に視線を向けるが
逸らされた。
なるほど。
劉も見たいって訳か。
「…と、とりあえず
屋上、行こうぜ」
「やだね。
見せてくれるまで動かない」
頬をぷくりと膨らませて
しゃがみ込む姿は
丸っきり子供だ…。
俺はわざとらしく
盛大に溜め息をついて
覚悟を決めた。
「…わかった」
「「え?」」
「見せてやるよ。俺の顔。
ただし、一度だけな」
「うんうん!
ありがとう十六夜ちゃん♪」
「十六夜…」
「抱き着くなよ、凜。
歩きにくい」
…多分、いや絶対。
俺がこんな気になったのは
楓のおかげなんだろうな。
あの一言が…。
『…、綺麗だ』
って男に綺麗も
おかしいと思うんだがな。
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