―プロローグ―

13/22
前へ
/62ページ
次へ
  (あーらら…) 俺は溜め息をついて、 引っかかれた手を抑えてる 会計さんを見た。 トラは警戒心が強いから 俺と理事長にしか 懐いてない。 「おーい、何がダメなんや?」 「へ?」 辰巳の声にハッとして 周りを見てみると、 視線が俺に集中している。 周りからみたら 不可解な俺の行動に 一気に羞恥が沸き上がる。 俺は黙って席に着いた。 普段、クールを気取ってる 俺にとっては 穴があれば入りたい気分だった。 「どーしたの? 十六夜ちゃん」 後ろから控えめに 声をかけられて 聞こえた方に振り向く。 「凜か」 「珍しいね。 十六夜ちゃんが サボってないなんて」 「辰巳に無理矢理 連れてこられた」 「知ってる」 なら言うな。 コイツは宮田 凜造<ミヤタリンゾウ>。 俺の後輩。 って言っても 小学生からの幼なじみだから 敬語で話したりはしない。
/62ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1769人が本棚に入れています
本棚に追加