―プロローグ―

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  「うわー 相変わらずだなぁ あの副隊長さんは」 「…あの人のやり方は 虫ずが走る」 「…俺も同意見だな」 ほんと あの副隊長さんは 手加減を知らない。 「それがどうしたの?」 「どうしたのって…っ」 平然と聞いてくる小山に 辰巳は絶句する。 まるで信じられないものを 見たような目で小山を見た。 「僕はただ雷光様に近づく 身分もわきまえないゴミクズ共を 排除しただけだよ?」 「排除って… いくら何でもやり過ぎやろ! 物事には限度があるって 知らんのか!?」 副隊長さんの言葉に だんだんイラついてくる 自分がいる。 どうしてだろうな、 自分に対してだったら あまり感情的には ならないのに 被害に遭った二人を 思ったら、腹の底から じわじわと熱が篭ってくる。 確かに、会長に近づくのは 禁じている。 だけど、それは 会長が困っていると 思った人だけだ。 実際 会長が困っているならば 会長直々に被害届けが 親衛隊に出されるはずだ。 それがないってことは 単なる好意的に挨拶しただけの 軽いものだろう。 それなのに、 それだけなのに、 あまりにもあんまりな 副隊長さんに、 もう怒りを通り越して 呆れたような溜め息が 零れた。
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