―プロローグ―

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  「………」 「十六夜?」 「十六夜ちゃん?」 俺は黙って立ち上がると 扉の方に向かって歩く。 「おい、十六夜 どこ行くねん」 「…ちょっとな」 それだけ言って 俺は教室を後にした。 辰巳は何も言わなかった。 ―――― 「よぉ十六夜じゃねーか」 「あ、京」 「教師を呼び捨てにするな」 「もう今更って感じじゃん。 それよりさ、ちょうど 京を探してたんだよね」 「俺になんか用か?」 この教師の名前は 片桐 京<カタギリキョウ>。 ホストみたいな 雰囲気を持つ まさに大人って感じな奴だ。 まあ、実際 中身は オッサンなんだけどな。 「全治一ヶ月の怪我をした 二人の入院先を教えてくれ」 「…報酬は?」 「はああ!? それくらいタダで 教えろよ!」 「いーや、お前には 特別料金で払ってもらう」 「はあ!?んだそれ! ワケわかんねー!!」  
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