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ねこまたさんはいつも当たり前のように『あの家』の裏にいたけど、その理由を知ったのは、出会ってからずっと後だった。
小学五年の冬、不登校になってからの話。
じいちゃん(曾祖父)が死んだのは、真冬のこと。
近所のお坊さんのありがたいお話を聞きながら、大泣きする母親を、どうにかして泣きやませようと必死だった。
田舎の葬式だっていうのもあるけれど、じいちゃんは交友関係の広い人だった。
それこそひっきりなしに弔問客が来るくらいには。
狭く寒い部屋に押し込められ、僕は見るのも嫌になった太巻き寿司の、厚焼き玉子だけを剥がして食べていた。
テレビも見てはいけないと言われていたし、借りてきた本はもう全部読み終わっている。
人見知りが激しいから、人が多いだけでも辟易してしまう。
はっきり言って、こどもだった僕にとってはつまらないことこの上なかった。
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