恨み

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気分転換に、コートを羽織って裏庭に行くと、ねこまたさんが珍しく起きているのが見えた。 土手の窪みに片足を突っ込み、勢いをつけて一気に登る。 ねこまたさんは庭の方をぼんやりと眺めていた。 「どうしたの?」 「アレは人間だった」 「じいちゃんのこと?」 「ああ、喰われたがな」 お客さんが出入りしているのが、ここからでもよく見える。途切れる様子はない。 同居人(親戚達)が、その対応に追われていた。 人間の死は、大変なことなのかもしれない、と思った。壊れ始めていた僕は、そんな感想しか抱かなかった。 「何に喰われたの?」 「この家に」 「家に?」
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