恨み

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家が人を食べるのか。 僕が厚焼き卵を食べるみたいに。 想像してみると馬鹿馬鹿しいな、とは思ったけど、ねこまたさんは真剣だった。 それこそ、獲物を食らうための目をしていた。 「この家はな、血筋を喰われていく」 「あの人たちは、美味しくなさそうだね」 「味などあるものか。あるのは宿願を果たす喜びよ」 にやり、ねこまたさんは牙を見せて笑う。 そのとき、ねこまたさんがここにいる理由がわかった気がした。 ねこまたさんの宿願……それは、この家を苦しめることなんじゃないか、と。 一思いに終わらせてしまうのではなく、傷を付けて血を流させて、弱らせる。その方が苦しみが長く続くから。 飼い猫が、捕まえてきたネズミで遊んでるのと同じ。 生きている方が地獄だな、と思った。 このまま、首でも食いちぎってくれたらいいのに。 実際の死を目の前にしてなお、僕はそれを望んでやまなかった。
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