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「ねこまたさん、嬉しそうだね」
「そう見えるか」
「うん。とても」
「人間を喰らうより、人を食らう方が楽での」
我らの宿願が果たされる日も近いかもしれんの。ねこまたさんはそう言って、笑った。
『人と人間は同じものじゃないの?』と聞いてみると、『お前は人にすらなれていない』、と言う。
じゃあ、僕は一体何者なんだろう。
「同じでしょう? 人も人間も」
「人と人の間に居らねば、『人間』ではないであろう? 小娘は人とつながっておらんじゃろ」
「じゃあ、僕は人だよ」
「お前は人にはなれんよ」
向こうの山を赤く燃やしながら、夕日が沈んで行くのが見えた。
お客さんも、家も、全部が赤い。
僕もねこまたさんも、それをじっと眺めていた。
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