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二本の尻尾が別々の生き物みたいにうねうねしてる。
(オバケだ!)
命の危険を感じたというよりは、好奇心の方が上で、そっと大きな猫に近づく。
本物かどうか確かめるために触ろうとしたら、大きな猫の目が開いた。
慌てて手を引っ込める。
本気で食われると思って目を閉じたのに、いつまでも食われなくて、恐る恐る目を開けてみると、やっぱり大きな猫がいた。
猫特有の前足を出して尻尾を持ち上げる感じの伸びをして、またころんと丸まった。
「お前は、ここの子か」
聞こえたのは、おじいさん一歩手前のおじさんみたいな声。
でも、裏の土手には僕と大きな猫しかいない。
竹林の上を見上げても、余所の家の方には人影は見えなかった。
「口が利けぬのか」
大きな猫の口がもごもご動いてるのを見て、トトロのネコバスを想像した。
ネコバスが喋ってるんだと思うと、意外と怖くない。
まあ実際のネコバスは喋らないんだけどさ。
「ねこさんは、オバケ?」
「ねこまたじゃ」
「ねこまたさん?」
「ああ、ねこまたじゃ」
そういって大きな猫はゴロゴロと喉を鳴らす。
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