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それ以上の答えは引き出せそうになかったから、黙って大きな猫の横に座った。
今考えると、こどもの順応力ってすごい。
その頃、ねこまたなんて聞いたことはなかったけど、まあ猫と付くくらいだから、猫の親戚なんだろうな、位にしか考えなかった。
後で、小学校中学年くらいで調べたときには本当に驚いたけど。
「小娘はここの子か」
「ぼく、こむすめじゃないよ。まーだよ」
当時、小娘なんて言い方はされたことなかったけど、『むすめ』が女の子であることはわかったから、否定した。
その頃はどうしても男の子になりたかったから。
自分のことを『ぼく』と呼んでいたのも、スカートをいやがっていたのも、自分でいることが嫌で嫌で仕方がなかったから。
大きな猫はにたりと笑って、前足で顔を擦る。
「ならば小娘、ひとつだけ教えてやろう。お前がいくら『別の物』になろうとしても、お前はお前以外の物にはなれん」
小難しい言い方だったから、当時の自分にちゃんと理解できたか、といわれたら否定するしかない。
だけど、今の自分を否定されたことは本能的にわかった。
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