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今、この文章を書いているのが夏だから、夏の話をしようと思う。 小学二年、夏の話。 母親と小さなことで大喧嘩して、懐中電灯を片手に外に出た。 近所に家はなく、あたりには街灯もない。(一番近い家でも歩いて10分以上かかったし、おじいちゃん、おばあちゃんばかりだった) 懐中電灯がなければ星の光位しか見えなかった。 今考えると、とても平成の世とは思えない、隔離された場所だったんだな。 あの場所は今でも変わっていないのだけど。 『あの家』の表の方はほとんどが田んぼだったし、裏手も用水路があったしで、ものすごく蚊に襲われた。 手足を動かしてれば、結構なんとかなったけど、さすがに懐中電灯が重たい。(単一電池を何本も入れる、赤い懐中電灯だった) 雨戸の閉まった家の縁側に、懐中電灯を置く。 明日の朝になれば、ばあちゃん(曾祖母)が回収するだろうとおもって。
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