はじまり

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「たっちょんありがとーなぁー。」 ヤスは嬉しそうにお礼を言った。 「別にええよ。オレの嫌いなの今日は入ってないみたいやし。」 「残念ながらたまご焼き作るときに生クリーム混ぜとるでー。」 納豆ご飯をかきこむたつよしを眺めながら信ちゃんはぴしゃりと言い放った。 それを聞いた途端、たつよしはピシッと音が出るかと思うくらいに固まった。 「え・・・。」 「あ、やっぱ生クリーム入れとったん?」 「どうりで甘いはずやぁ。」と呟きながらヤスは自分の食器を流しへ運んだ。 あ、ちなみに俺はテーブルに座って自分の朝飯を食べてんねん。 「生クリーム入れるのやめてやぁー。」 「そう言われてもそうせな絶対生クリーム食わへんやろ?」 「入れてあっても見た目で食べてまうよー。」 たつよしが文句を言ってる隣ですばる君は信ちゃんに見えないように食器を流しへこっそり持って行った。 それと同時に裕ちんと亮ちゃんが2階から下りてきた。 裕ちんはスーツ、亮ちゃんは配達業者の作業着を着とる。 「斗瀾ー。ネクタイ結んでやぁー。」 裕ちんはネクタイを片手に斗瀾ちゃんを呼んだ。 斗瀾ちゃんは流しに食器をおくと、裕ちんのネクタイを丁寧に結んであげた。 「あ、裕ちんのそのネクタイ斗瀾ちゃんが誕生日にあげたやつやろ?」 俺がそう言うと、裕ちんは照れ臭そうに鞄を持ち直した。 裕ちんがしてるネクタイはトトロがところどころに小っちゃくプリントされてるヤツやねん。 「侯くんこれ似合ってるよ。選んで正解だった。」 斗瀾ちゃんは嬉しそうに裕ちんのスーツ姿を眺めてた。 実はここだけの話やけど、こないだ父の日に信ちゃんに裕ちんとお揃いのネクタイを斗瀾ちゃんはプレゼントしてん。 裕ちんは知らんのやけどな。
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