【turn.1 世界の終焉】

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 微笑を浮かべてはいるが光年の先輩としての威厳が後輩である二人に妙なプレッシャーを与えていた。しかし、この二人にそのプレッシャーはあまり通用するものではなく、黒一は帰る準備を始め、煉瓦は椅子に座って腕を組み、更に険しい顔をして何かを考えだしていた。 「やれやれ、やっぱしこの二人を制御出来るのは部長様ぐらいなのかね」 「こればっかしは仕方ないですよ鶯谷先輩。こいつら先生の言う事ですら聞かないんですから」 「この部活も真面目なのは君ヶ浜くらいだな。ところで遊天寺―――」  光年は会話を羽子から黒一に切り替える。既に帰る気満々の黒一は不服そうな顔で光年を見た。 「珍しく大した仕掛けもない決闘(デュエル)だったね。手加減でもしてたのか?」  その言葉に考え込みを決め込んでいた煉瓦の表情がひきつる。 「いや、単純に引き運がなかっただけですよ。こういう日もあるんです」 「なるほどね。遊天寺もまた伝説に名を列ねる決闘者(デュエリスト)には遠いって訳だ」 「まっそんなとこですよ、んじゃ」  会話を終わらせた黒一は自然に部室から出て行った。光年もその自然な行動に「またな」と返し、何食わぬ顔をしていると―――羽子が「しまった」と部室から飛び出す。 「はっはっ、ついつい自然に帰してしまったな。僕もまだまだ先輩の威厳が足りないのかもね」  独り言を呟き、光年も部室内の椅子に座り自分のデッキをいじり始めた。  黒一は部室から出て自分の在籍している二年十三組に向かっている。理由は教室に忘れてしまった途中までやってある宿題を取りに行く為である。 「まあ悪くない決闘(デュエル)だったのは確かかな」  独り言を言いながら自分の教室の前に着くと―――教室内が青白く光っていた。正確に言えば教室の真ん中の机に置いてある何かが光を発しているのである。 「なんだ?」  黒一は恐る恐る教室に入り、真ん中の机にまで歩みを進めた。  そこには一枚のカードが置いてある。 「エンド・オブ・ザ・ワールド……? 魔法(マジック)カードみたいだけど、こんなカード知らねえな。しかもテキストが読めねえのは何なんだ?」  疑問に思いながらも黒一はそのカードを手にした。
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