【turn.1 世界の終焉】

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「ふむ、最初からそう言えばよいのだ」  黒一は金縛りが解けた瞬間、全身全霊を込めて身体を反転させて勢い良く走り出そうとする。だが、その行動を予想していたのか、ルインは再び黒一に金縛りをかけた。黒一の身体は走り出す態勢で硬直してしまう。 「人間の考える事など手に取る様に分かる。さて次はどうするつもりだ?」  鋭い眼光でルインは黒一を見下す。 「えっと……すみませんでした」  簡単に謝った黒一の金縛りは解け、確実に逃げられないと分かった今、迷う事なく椅子に座り話を聞く事を決めた。 「最初からそうすれば良いのだ」 「いやもうホントに意味がわからないんですけど」 「慌てるな。これから貴様には嫌でも動いてもらう。その為にも貴様には妾の話を聞いてもらわねばならぬのだ」 「もう何でも話してくれ。聞くだけならタダだ」  やけくそで投げやりな台詞を吐き黒一は腕を組んで話を聞く姿勢を見せる。それを察したルインは一時だけ間を置いて口を開いた。 「……妾は精霊界からゲートを通り、この人間界にやって来た。今、精霊界はとある王によって終焉を迎えつつある。そして王はこの人間界にもやって来たのだ」 「へえ、なんで?」 「人間界に終焉をもたらす為にだ」 「へえ……終焉って事は世界の滅亡うんちゃらってやつか?」 「そうだ」 「……いやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいや、そんな話信じられる訳ねえだろっ」 「だがこうして貴様は妾を降臨したではないか。これが何よりの証拠だ」 「きっと夢さ! これは夢なのさ」  言って黒一は頬をつねると言うありがちな行動を取ると、頬はしっかりと赤くなった。 「くそ痛い……本気でつねるんじゃなかった」 「これで分かったであろう。これは紛れもなく事実なのだ」  暫く黒一は黙り考え込む。数分程度悩んだ末に言葉を発して。 「分かった、とりあえずそこまでは無理矢理納得してやる。んで、何であんたはこっちの……人間界だっけ? まあ俺達の世界に来たんだ?」  考え抜いた言葉は質問だった。その質問を言葉にした黒一の目はまるで決闘(デュエル)をしている時の様に真剣である。 「ふむ、目付きが変わったな。妾は来た理由は至って単純なものだ。妾はその王の愚行を止める為にやって来た」 「破滅の女神なのにか?」
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