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ここは精霊界。
デュエルモンスターズと呼ばれる住人が住む世界だが―――今、その世界は終わりを迎えようとしている。
「貴様……今、何をしているのかわかっておるのか?」
銀色の長い髪を靡かせ、傷だらけになりながらも眼光を尖らせる『女神』が目の前に立ちはだかる『王』に向かって問う。
「何を言っているのか我輩にはわからぬな。我輩は『終焉の王』であり、主は『破滅の女神』であろう。我輩が世界に終焉をもたらすのは必然であるぞ」
黒く禍々しいオーラを放つ『王』は鼻で笑った。
「何を言っておる! 妾達は悪戯に世界を終わらせてはならぬと神の掟がある。掟を破る事は神への冒涜ぞ! それがわからぬか!」
銀髪の『女神』は声を振り絞って大声を張り上げるも『王』にその声は届かない。否、聞き耳すら持ち合わせていない。
「そんなもの―――我輩は知らぬわっ!」
手に持つ大斧を片手で大きく振り、そこで発生する風圧だけで『女神』を吹き飛ばした。
「我輩はこれより人間界を終わらせる。主如きに我輩を止める術はなかろう。それでも止めたくばかかってくるがよい。我輩はそれでも十分に楽しめるのでな」
背を向けて『王』はその場から姿を消し、たった一人『女神』だけが滅び逝く世界の中で残る。
「まだだ。まだ終わらせるわけにはいかぬぞ。妾は―――必ず貴様の野望を止めて見せる。必ずであるぞ『終焉の王デミス』よ」
立ち上がった『女神』もまた、その場から姿を消したのだった。
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