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羽子が視線を煉瓦に変えると、既に煉瓦は部室のロッカー側に立って決闘盤(デュエルディスク)を構えていた。目付きもより一層に強く、それはまるで獲物を前にした狩人の様である。
「ほら早くかかって来いや」
「ったくよ、なんで毎回毎回そういきり立ってるのかね」
渋々ではあるが黒一も決闘盤(デュエルディスク)を腕に装着して、黒板側の方で煉瓦と対峙する様に立つ。しかし、目の色は先程と打って変わって輝きを増していた。
「よっしゃ行くぜ、クロ」
「やるからには全力でやらせてもらうぞ」
二人は、ほんの一瞬だけ息を整え―――声を合わせた。
『決闘(デュエル)』
「先行はもらうぜクロ。ドロー。俺はシルバー・フォングを攻撃表示で召喚」
煉瓦のフィールドに銀色の狼が出現し声を唸らせている。
シルバー・フォング〔ATK1200/DEF800〕。
「更に装備魔法発動、猛獣の歯。このカードは獣族モンスターの攻撃力と守備力を300ポイントアップさせるぜ」
煉瓦のフィールドで唸り声を出し続けるシルバー・フォングの牙がより鋭さを増した。
シルバー・フォング〔ATK1500/DEF1100〕。
「最後にリバースカードを一枚セットしてターンエンドだ」
小机 煉瓦フィールド。
LP4000。
手札三枚。
モンスターカードゾーン。
星3、シルバー・フォング〔ATK1500/DEF1100〕攻撃表示。
魔法/罠カードゾーン。
装備魔法、猛獣の歯、シルバー・フォング装備。
セットカード一枚。
「なるほど、単体では能力の低いモンスターも、装備カードで強化すれば戦えるってか。だけどまだまだだな煉瓦」
「んだとっ。いいからてめえのターンだろ」
「おうよ、俺のターン、ドロー。俺は闇魔界の戦士ダークソードを攻撃表示で召喚だ」
黒一のフィールドに黒い鎧を纏い、二本の剣を構える闇魔界の戦士が現れた。
闇魔界の戦士ダークソード〔ATK1800/DEF1500〕。
「初っぱなから遊天寺のフェイバリットカードの登場か」
二人の決闘(デュエル)に思わず声を出したのは今まで居なかった別の男子生徒だった。長身細身で何処か落ち着きのある雰囲気を漂わせている。
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