【turn.1 世界の終焉】

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「あれ、鶯谷先輩。いつ来たんですか?」  突然出現した男子生徒―――鶯谷 光年(うぐいすだに みつとし)に目を向けた羽子が尋ねる。すると光年は「今だよ」と簡潔に答えを述べた。 「ちなみに部長様は生徒会の仕事が忙しくて今日は来れないそうだ。まっ、あいつも遊天寺同様にほぼ幽霊部員だから気にしなくても良いだろうけどね」  二人の会話の最中、先輩の登場にも気付かずに黒一は攻撃を宣言している。 「ダークソードでシルバー・フォングに攻撃! 闇魔界の斬撃、ダークソード・スラッシュ」  ダークソードはシルバー・フォングに飛び掛かり、真っ二つに斬り裂いた。シルバー・フォングが破壊された事により発生した爆風が煉瓦に吹き付ける。 「くっ」  顔を腕で庇い爆風に耐えたが、煉瓦のライフポイントは300ポイント削られた。 「更に俺はリバースカードを二枚セットしてターンエンド」  遊天寺 黒一フィールド。  LP4000。  手札三枚。  モンスターカードゾーン。  星4、闇魔界の戦士ダークソード〔ATK1800/DEF1500〕攻撃表示。  魔法/罠カードゾーン。  セットカード二枚。 「やるじゃねえか。せっかく攻撃力上げたのがあまり意味無かったぜ。俺のターン、ドロー! 行くぜ、俺はリバースカードオープン。リビングデッドの呼び声。このカードは墓地のモンスターを表側攻撃表示で特殊召喚する。甦れ、シルバー・フォング!」  煉瓦のフィールドに倒された筈のシルバー・フォングが再び出現した。  シルバー・フォング〔ATK1200/DEF800〕。 「下級モンスターを復活させたって事は―――狙いはアドバンス召喚か?!」 「流石クロ、察しいがいいな。だが、リリースには間違いねえが、俺が狙うのはアドバンス召喚じゃねえっ!」  声を張り上げ煉瓦は一枚の魔法(マジック)カードを天に掲げる。 「儀式魔法、合成魔術を発動。俺は手札に居るレベル3の隻眼のホワイトタイガーとフィールドのシルバー・フォングをリリースして儀式召喚!」  煉瓦の手札にあった白き虎も姿を現し、シルバー・フォングと共に光に変わって儀式魔法、合成魔術に吸い込まれた。 「降臨せよ、合成魔術によって生まれた誇り高きワーウルフ。ライカン・スロープ!」
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