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「ねぇ秀」
「何ー?」
富崎秀を名前で呼ぶのは私だけだと思う。
幼馴染みならでは、かな。
「今度の花火大会、行くよね?」
「ん、もちろん」
数学の問題集を開きながら話す。
県下最大の花火大会が、毎年8月1日に開かれるのだが、私たちは幼い頃から一緒に行っている。
「それ、俺も行っていいよな?」
「いいよー。今年は三人で行こうかー。」
秀の話し方はすごく和む。
花村はペンをくるくる回しながら、こちらに目線を送って来た。
「どうかした?」
「浴衣でくるよな?」
「えー…」
浴衣、かあ…
花村は変わらずペンを回し続けている。
「おれ、浴衣でくるよー」
なぜか先に秀が答えた。
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