~旅立ち~

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……あれ? 死んでない。 俺は確かに撃たれた筈……? 刀を持った男が地面に向かって笑っている。 何だこいつ、頭おかしくなったのか? そう思いながら俺も地面に目を向ける。 「――っ!!」 するとさっきの女の子が血を出して倒れていた……。 「な……んで」 それしか言えなかった、 「よ…かっ……たぁ。まに……あっ……て」 そうか。この子は俺を助ける為に自ら……。 「バカ……だろ。何で?知らない俺の為なんかに……」 「だって…、逃げないで…助けようとしてくれ……たのが…嬉し…かったから……」 痛みで苦しそうな顔をしていたけど、無理に笑顔を作っていた。 「ごめん。ホントに……」 そう言いながら俺はその子の元へ歩こうとしたが、 「おいおい、何動こうとしてんだ?動いたら殺すぞ?」 男は刀を俺の首に当てながら言った。 「やってみろよ……!」 そう言って俺は男の刀を掴んだ。 すると刀は 【折れた】。 いや俺が掴んだ所から先が【消えていた】。 「う、うわ!俺の刀が!てめえ何した!」 何したか? 俺にも分からない。だがこれで男がひるんだのでその隙にその子の元へ行った。 「あ、アナタ…すごい…んだね」 彼女は苦しそうにいう。 「ホントに……ごめんな」 「ううん…。大丈夫だから……、あの。名前…教えてくれる?」 「アキ……。君は?」 「アキ君か……私はマリって言うんだぁ…よろしく…ね…」 その言葉を最後にマリは息を引き取った。
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