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「ええ。如月…あの世界トップクラスの大財閥如月がご実家でしたよね?」
『……(ご実家って…麗惺の実家でもあるのに…)うん…それでね?その如月には跡継ぎは代々直径がとか言う決まりがあってね?』
「(それって…嫡子である雅司さんの子供である俺が?冗談だよね?…)つ、つまり…」
『俺が正式に如月の総帥になったら…その、麗惺が跡を継ぐしかなくなるというか…』
雅司は、申し訳なさそうにそう言いながら声をだんだんと小さくさせて行く。
「…じょ、冗談ですよね!?そんなのお断りですよ!?」
『ごめん…皐月が生きていれば麗惺にも拒否権は合ったんだけど…』
「!!…それはつまり…俺が母の庇護下にあれば如月の祖先の遺言状が合っても普通の生活を送れたはずだったが、母の死んだことにより俺は如月の跡取り問題に巻き込まれたわけですか?」
麗惺は、雅司の言葉に表情を険しくさせ、先ほどよりも幾分声を低くしてそう問いかける。
『…(怒ってるよねぇ~…)うん…だから…先に謝って置きたくて電話したんだよ…』
雅司は、麗惺の言葉に内心で汗を流しながら表面上はどこか悲しげにそう言った。
「え?どういうことですか?」
『…麗惺をもう一人にさせておくわけには行かなくなったって事だよ』
麗惺の言葉に雅司の声が僅かにだが強張ったように感じられた。
「…まさか…」
『うん…少し…手荒なことになると思うからね』
雅司が、そう言うのとほぼ同時に麗惺の部屋の扉が蹴破られた。
「な!?」
麗惺は、扉に目を向けて驚きの声を上げる。
そこに居たのはサングラスに黒スーツを身に纏ったSPの方々。
『本当にごめんね?き、嫌いにならないでね??俺のせいじゃないからね!?俺はちゃんと迎えに行くつもりだったのに親父が…』
雅司のその必死の弁解は、最後まで麗惺が聞くことは出来無かった。
麗惺の意識は、必死な雅司の声をBGMにプツリと途切れてしまった。
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